『Bohemian Rhapsody』

映画の感想というか、わたしとクイーン、みたいな記事になってしまった。

説明するまでもないがイギリスのバンドクイーンの伝説のリードボーカルフレディ・マーキュリーの伝記映画。

結論だけ先に言うと、見に行って良かったし、もう一度見たい。映像も音楽も良かったな〜クイーンよく知らないわって人が行っても楽しいと思う。

 

フレディの伝記映画が作られるというニュースが流れたのはいつだったか、人並みにクイーンが好きなので、なかなかに嬉しかった。

公開が決まった時も特に考えずに映画館で見ようと思った。予告編すら見なかった。評判が良いのはなんとなく知っていたし、封切りから3か月も経った今でも上映されているのが何よりの証左だと思っていた。

 

私が生まれた頃にはもうフレディはこの世にいなくて、でもみんながクイーンのことを知っていた。とびきり有名なバンドだから、CMに使われたり、行事のBGMに使われたりして、生活に馴染み深いものだった。一つ記憶にあるのは小学校の運動会のときに何かの競技で"We will rock you"を使われたことだ。脚を踏みならして手拍子を叩く。

母もクイーンが好きだった。LPをいくつか持っているらしいが私が物心ついたころには再生機がなかったので、CDのベストアルバムのようなものを借りてよく聞いていた。大嫌いな漢字ドリルをリビングでやるとき、それをかけて自分を鼓舞していた。漢字が嫌いなんじゃない、宿題とドリルが嫌いだっただけだ。バーイセコ、バーイセコ…と口ずさみながらだとなんとか宿題ができたのを記憶している。

 

そのあと特にUKロックにはまることもなく、ただ生活のどこかしらにクイーンはいた。中学生でジョジョの奇妙な冒険にハマって、曲はスタンドとして現れた。

母が、フレディって物凄く歌が上手いけど、 ちっちゃいおじちゃんで、胸毛とかすごいんだよ。と笑うのでライブ映像を見たことがあった。派手なピカピカしたボディスーツを着たおじさんがめちゃくちゃ歌が上手くて、かっこよ、と思って笑った。たぶんKiller Queenのライブ映像だろう。

脱線するけど、私は村上春樹がすごく好きなんだけど、著者近影を見たとき「おじちゃんやんけ!!」と少しショックを受けた。

 

最近はSpotifyを契約しているので、それでクイーンを聞くことがよくある。映画『ベイビー・ドライバー』の劇中で用いられたのをきっかけにまた繰り返し聞くようになった。やはり、自分を元気付けるために聞くことが多い。気が重い外出とか、面接の前とか。フレディの歌声は力強くて、ギターもベースもドラムもバリバリ鳴ってて、元気をもらえる気がするのだ。あのペケペケのギター!

 

とうとう映画が封切りになって、見に行けないうちにしばらくが経った。気持ちが落ち着いている日に急に出かけることにして、急に映画を見ることにした。母は既に1回見ていたがIMAXで見たいと思っていた、とのことで一緒に行った。席の空きがある木場の109シネマズまで脚を伸ばした。東宝日本橋が営業中止になった煽りか、関係ないのか、東宝日比谷も品プリのとこのも満席だった。木場は変なとこにあるからちょっとだけ席があった。

 

クイーンファンかと聞かれればたぶん違うし、フレディのことはエイズで死んじゃった、ぴかぴかで歌が上手すぎるおじさん、としか思ってなかった。

それでも、ずっと涙が流れてしまうような映画だった。いや、わたしの情緒が酷く不安定なのはあると思うけど。

バンドがうまくいけば良かったね…と涙が流れ、恋模様に一喜一憂し、歌詞の意味を字幕で知ってまた泣き。描き出されるフレディの深い深い孤独を感じると身を切られるようだった。

クイーンというバンド自体についてはよく知らなかったので、片鱗に触れたような気がする。誰が作曲しているとか、誰が歌詞を書いたとか、そういうことに興味を持ったことがなかった。

 

鑑賞後は目を真っ赤にして退出したが、気持ちは晴れやかだった。

わたしは天才じゃないしスターダムにのし上がったわけでもないけど、一端の孤独感とかちっぽけな悩みを抱えていて、もう生きていけない!と思うことがよくある。

なんとなく、いつか死ぬんだけど、それまでなんしか生きようかな、と前向きになれる。

 

伝記映画だから脚色や事実と合わないところもあるかもしれないけど、実際バンドのメンバーが製作に深く関わってくださってるので、そのへんは信じる。ブライアンメイがゴーを出したなら、きっとそれでいいんだと思う。

フレディの映画で、クイーンというバンドの映画だった。

 

生きたよね…良かったね…頑張ったし、楽しかったよね…わたしも楽しい…と思った。また見たい。さっきも言ったか。また見たい。Spotifyに映画のサントラが出てて、嬉しい。